Japanische Klassiker mit Furigana
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つゆのあとさき
つゆのあとさき
永井 荷風
Lesen Sie つゆのあとさき von 永井 荷風 (ながいかふう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 74.725 Zeichen · 148 Bildschirme
銀座辺の飲食店を徘徊する無頼漢や不良の文士などから脅迫される虞もあり、また君江が酔客を相手に笑い興ずるのを目の前に見ているのも不愉快である。清岡はこれから立寄るべきところは、まずこの間から折々出かける赤阪の待合より外にはないと思いながら、しかし目ざした芸者は既に五、六度呼んでいるにもかかわらず、今もってなかなか承知する様子がないので、今夜あたりも大抵話はまとまるまいと思うと、行かない先から、何やらむやみに腹立しい心持になって来る。しかしこの腹立しさもよくよく考えて見ると、あの芸者が自分の意に従わないという事から発しているのではなくて、その原因はやはり君江に対する平素の憤りから起っている。君江がもし自分の思うようにさえなっていれば、何もあんな芸者にふられるような馬鹿な目に遇わなくてもすむ事だと思うと、一時ゆるがせにしていた報復の悪念がまたしてもむらむらと胸中に湧き立って来る。清岡が君江に対して、何よりも腹が立ってならないのは、平素君江が何の心配もなく面白そうに日を送っている事で、その次には君江が名声籍々たる文学者の恋人である事をさほど嬉しいとも思っていないように見える事である。