Japanische Klassiker mit Furigana
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ふしぎくにたんけん
ふしぎ国探検
海野 十三
Lesen Sie ふしぎ国探検 (ふしぎくにたんけん) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 59.118 Zeichen · 120 Bildschirme
「透明というんではない。ほんとうは見えない人だ」ドクターは、怒ったような声で、ぽつんぽつんと喋った。
「その研究には、永い年月をかけた。莫大な金を使った。ぼくは親爺の金まで持ちだした。……三年かかれば研究はできあがると思ったが、だめだった。それから屋敷を売って次の五年間の研究費を作った。……五年目の終りになって、こんどこそうまくいくと思ったのが間違いで、致命的な問題に突当り、今までの研究は全部だめだと分った。がっかりして、ぼくは一週間死んだようになって寝ていた……やり直しだ。振だしへもどって、はじめからやり直さねばならない。研究の費用はどうするんだ。何を喰って研究をつづけるのだ。
ぼくは、のこり少い持物をほとんど全部叩き売った。ああ、やさしかった母親の残してくれたかたみの指環も売った。寒い冬を凌ぐためにはぜひとも必要なオーバーさえ人の手に渡した。学者として生命にもかえがたい秘蔵の書籍三千冊も売り払った。ベッドさえ手放した。そしてこのあばら家へ転がりこんだ。……あとに残ったのは、今この部屋に転がっているものだけだ。実験の器具、ぜひ必要な本と研究録、わずかの生活道具だけになってしまった。