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Japanische Klassiker mit Furigana

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アパートのさつじん

アパートの殺人

平林 初之輔

Lesen Sie アパートの殺人 (アパートのさつじん) von 平林 初之輔 (ひらばやしはつのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 19.579 Zeichen · 39 Bildschirme

Aozora Bunko

本人は死んでしまっているんだから、今その小切手を銀行へもっていって現金にかえてしまえば、誰も気のつくものはない。そう思うと私はもう悪魔のような気持ちになってその紙切れをポケットの中へつっこんでしまいました。そして、死体にはもとのとおり頭から布団をかぶせて、そっとみさをの室を出ていきました。幸いにも帰りがけには誰にもあわなかったので、その足で、××銀行の支店へ行って、いい加減な住所に村井八太郎という名前を書いて、私の認めをおして、金を受けとってきました。その金はまだすっかりここにもっています。

いま申し上げたように、三時にみさをの室から出ていったのは私に相違ありません。そして、あの人の小切手を盗んだのも私に相違ありません。けれども、みさをは、その時にはもう死んでいたのです。決して私が殺したんではありません。それにあの人は身体のどこにも傷を受けてはいなかったもんですから、私は殺されたんじゃなくて死んだのだろうと思っていました。

「ナルコポンの注射のあとでお酒をいただくとすぐ死んじゃうそうよ」なんてみさをがいつか言っていましたから、そんなことで、ついうっかりして薬のせいで死んだのじゃないかと私は思っていたくらいです。