Japanische Klassiker mit Furigana
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オリンポスのかじつ
オリンポスの果実
田中 英光
Lesen Sie オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) von 田中 英光 (たなかひでみつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.277 Zeichen · 147 Bildschirme
といい、大学の艇庫ばかり並んでいる処ですから、ボオト選手の日頃の行状を知っていて、「いいねエ、君等は、飲みすぎですか」と笑いかけます。ぼくの蒼ざめた顔を、酒の故とでも思ったのでしょう。照れ臭くなったぼくは、折から来かかった円タクを呼びとめ、また、渋谷へと命じました。
家に着いたぼくは、なにもいわず、ただ「ねかしてくれ」と頼んだそうですが、あまり顔色と眼付が変なのに、心配した母は、すぐ、叱りもせずに、床をしいてくれました。翌朝、眼の覚めたときは、もう十時過ぎでしたろう。枕もとの障子一面に、赫々と陽がさしています。「ああ、気持よい」と手足をのばした途端、襖ごしに、舵手の清さんと、母の声がします。ぼくの胸は、直ぐ、一杯に塞がりました。
もう寝たふりをして置こうと、夜着をかぶり、聴きたくもない話なので、耳を塞いでいると、そのうち、また眠ってしまったようです。あの頃は、よく眠りました。練習休みの日なぞ、家に帰って、食べるだけ食べると、あとは、丸一日、眠ったものです。それ程、心身共に、疲れ果てていたのでしょう。ところが、やがて、「やア、坊主、ねてるな」という兄の親しい笑い声と、同時に、夜着をひッぱがれました。