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Japanische Klassiker mit Furigana

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オリンポスのかじつ

オリンポスの果実

田中 英光

Lesen Sie オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) von 田中 英光 (たなかひでみつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.277 Zeichen · 147 Bildschirme

Aozora Bunko

すると、二三日経って、甲板で逢った内田さんがぼくに、「坂本さん、お願いがあるんやけれど」と珍しく改まった調子です。「ハア」とぼくが堅くなると、今度は笑いだして、うしろに居た百米のM嬢をふりかえり、「ねエ坂本さんの歌うまかったわねエ」「否、駄目ですよ」と照れるぼくを黙殺して、「ねエMさんがあなたに歌をかいて下さいって。幾つでも出来るだけ」Mさんというひとはピチピチとした弾力のある子供っぽい愛くるしい顔をしている癖に、コケットの様な濃厚なお化粧をいつもしていました。

そこでぼくは彼女達に婉然と頼まれると、唯々諾々としてひき受け、その夜は首をひねって、彼女の桃色のノオトに書きも書いたり、――かにかくに太平洋に星多き夜はともすれば人の恋しき――から始まり――海の上のノオトは浪が消しゆきぬこのかなしみは誰が消すらむ――に終る、面皰だらけの歌を十首ばかり作りあげ、翌日M嬢に手渡そうとおもいました。

面皰といえば思いだす、面白い話があります。同船していたブラジル人で十五歳位の女の子がいて、それが大分早熟で、体操のKさんの跡ばかり追っていました。

或るときブリッジの蔭で、Kさんの名前を呼び喚いている女の子が、あまり一生懸命に呼び探しているので、「ヘェイ、ぼくと遊ぼう」