Japanische Klassiker mit Furigana
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オリンポスのかじつ
オリンポスの果実
田中 英光
Lesen Sie オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) von 田中 英光 (たなかひでみつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.277 Zeichen · 147 Bildschirme
文字通りの熱狂的な歓送のなか、名も知られぬぼくなどに迄、サインを頼みにくるお嬢さん、チョコレェトや花束などをくれる女学生達。旗と、人と、体臭と、汗に、揉れ揉れているうち、ふと、ぼくは狂的な笑いの発作を、我慢している自分に気づきました。
勿論、こんなに盛大に見送って頂くことに感謝はしていたのです。ことに、京浜間に多い工場という工場の、窓から、柵から、或いは屋根にまで登って、日の丸の旗を振ってくれていた職工さんや女工さんの、目白押しの純真な姿を、汽車の窓からみたときには、思わず涙がでそうになりました。
しかし、例の狂的な笑いの発作が、船に乗って、多勢の見送り人達に、身動きもならないほど囲まれると、また、我慢できぬほど猛烈に、起ってきて、ぼくは教わったばかりの船室にもぐりこみ、思う存分、笑ってから、再びデッキに出たのです。
昔、教えて頂いた中学、学院の諸先生、友人、後輩連も来ていてくれました。銅鑼が鳴ってから一件の背広を届けに、兄が、母の表現を借りると、スルスルと猿のように、人波をかきわけ登ってきてくれました。これは帰朝してから、聞いたことですが、故郷鎌倉での幼馴染の少年少女も来ていてくれたそうです。