Japanische Klassiker mit Furigana
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オリンポスのかじつ
オリンポスの果実
田中 英光
Lesen Sie オリンポスの果実 (オリンポスのかじつ) von 田中 英光 (たなかひでみつ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 75.277 Zeichen · 147 Bildschirme
歩けなくなるのです。
その不恰好なざまは、忽ち、皆に発見され、どッと笑いものにされて了いました。
「頼むぜ、おい、女の尻追いかけるのもいいが、歩くのだけは一人前に歩いてくれよ」と森さん。「ボオトがろくに漕げもせんと思ったら、よう歩けもせんのか。それでもよう女だけ、出来るもんじゃ」と沢村さん。「貴様は、あまり女が好きだから、手も動かなくなるんじゃ。しっかり歩け。ぶち廻すぞ」と松山さん。「やれやれ、なんと無器用かなア」と東海さん。等々。
ぼくは、自分の神経が病気なのを、はっきり感じました。なんの為に。紅いセエム革がちらつく気持でした。眩暈が起ればよかったのです。がぼくは、そのまま歩き続けました。その中、黒井さんも手の上がらないのを注意しなくなり、皆のぶツぶツ言うのも聞えなくなりました。
その日は、バック台も棒引も、目茶苦茶でした。棒引はいつも、腕力のそう違わない沢村さんが相手なのに、その日は、力も段違いな松山さんが、前のバック台に坐り、「ほれっ、引いてみろ」と頑張り、木株のような腕を曲げ、鼻の穴を大きくして、睨みつけます。その瞳には、むしろ敵意さえ感じられました。