Japanische Klassiker mit Furigana
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ドナウげんりゅうこう
ドナウ源流行
斎藤 茂吉
Lesen Sie ドナウ源流行 (ドナウげんりゅうこう) von 斎藤 茂吉 (さいとうもきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 21.565 Zeichen · 44 Bildschirme
小さい蛙が岸から水中に入って泳ぐなら、少し泳いだと思うとまた戻って来ただろう。その蛙は流にながされるようなことはない。極く放埒に戻って来ただろうと思った。
響がして来て対岸の向うの森のところを汽車が通って行った。この汽車は流に沿うて川上の方に通じた支線鉄道のうえを走って行くのであった。銀色の川が向うの森の麓をゆくとき紺のいろを現出した。僕は鉄道線路の橋を渡って、今度は向側を歩いて行った。まだ芽ぶかない灌木の群生しているところから向うを見ると、さっき森のかげに曲って行った川が目路から開けて来て、それがまた遙か向うに没している。そこのところに村が見える。点在している赭い屋根の間に、寺院の尖塔が一つあって、それが村の中心を保っている。
僕は二時間半はたっぷり歩いただろう。そう見積って汀を離れて丘をのぼって来た。そこに村から村へ通ずる道があった。そこまで来た。眼界が開けたから、森は暗黒の色を帯びて幾重にも畳なわって見える。その緩慢な曲線は何かの膚のようであった。その奥の奥に川の源があるのであるが、そういう落葉がくれの水、苔の水の趣味は差向きここに要求しなかった。