Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
或は上り或は下り、右に左に屈折して、ガラスの道は、島の沿岸を数十間の間続いています。上りつめた時には、海面とガラスの天井とがすれずれになって、電燈の力を借らずとも、あたりの様子が手に取る様に眺められ、下り切った時には、幾百燭光の電燈も、僅かに一二尺の間を、ほの白く照し出すに過ぎなくて、その彼方には地獄の闇が、涯知らず続いているのです。
海近く育って、見慣れ聞慣れてはいても、こうして、親しく海底を旅した事なぞは、いうまでもなく始めてだものですから、千代子は、その不思議さ、毒々しさ、いやらしさ、それにも拘らず異様にも引入れられる様な人外境の美しさ、怖い程も鮮かな海底の別世界に、ふと、名状の出来ない誘惑の様なものを感じたのは、まことに無理ではなかったのです。彼女は、陸上で乾し固った姿を見ては、何の感動をも起さなかった種々様々の海草共が、呼吸し、生育し、お互に愛撫し、或は争闘し、不可解の言語を以て語り合ってさえいるのを目撃して、生育しつつある彼等の姿の、余りの異様さに、身もすくむ思いでした。
褐色の昆布の大森林、嵐の森の梢がもつれ合う様に、彼等は海水の微動にそよいでいます。