Japanische Klassiker mit Furigana
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パノラマとうきだん
パノラマ島綺譚
江戸川 乱歩
Lesen Sie パノラマ島綺譚 (パノラマとうきだん) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 78.920 Zeichen · 153 Bildschirme
腐りただれて穴のあいた顔の様に、気味悪いあなめ、ヌルヌルした肌を戦かせ、無恰好な手足を藻掻く、大蜘蛛の様なえぞわかめ、水底の覇王樹と見えるかじめ、椰子の大樹にも比すべきおおばもく、いやらしい蛔虫の伯母さんの様なつるも、緑の焔と燃ゆる青海苔、みるの大平原、それらが、所々僅かの岩肌を残して、隈もなく海底を覆い、その根の方がどの様な姿になっているのか、そこにはどんな恐しい生物が巣食っているのか、ただ上部の葉先ばかりが、無数の蛇の頭の様に、もつれ合い、じゃれつき、いがみ合っています。それを蒼黒い海水の層を越し、おぼろ気な電光によって眺めるのです。
ある場所には、どの様な大虐殺の跡かと思うばかり、ドス黒い血の色に染まったあまのりの叢、赤毛の女が髪をふり乱した姿の牛毛海苔、鶏の足の形のとりのあし、巨大な赤百足かと見ゆるむかでのり、中にも一際無気味なのは、鶏頭の花壇を海底に沈めたかと疑われる、鮮紅色のとさかのりの一むら、まっ暗な海の底で、紅の色を見た時の物凄さは到底陸上で想像する様なものではないのです。
しかも、そのドロドロの、黄に青に赤に、無数の蛇の舌ともつれ合う異形の叢をかき分けて、先にも云った幾十幾百の螢が飛びかい、電燈の光域に入るに従って、夫々の不可思議な姿を、幻燈の絵の様に現します。