Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
何という落ちついた叡智の持主であったろう。その羽は黒く紫に、その嘴は黄色く、よく横向に尻尾をあげあげ辷った。
それに船側に添って乱れて駛りのぼる青い腹の、まるで白竜のような新鮮な波の渦巻と潮とをつくづくと俯瞰しては、何とか歌にまとめようと苦吟もして見た。
午後になって、左舷の遥かに金華山らしいのが眺められたが、航路というものは、海岸線には添いつつも、なかなかに近くへは寄れないと思えて、おおかたは空と海とのかぎりない大円盤ばかりを周りにして進んで行くのだ。
「ここまで来れば、何も彼も忘れてしまいますね。」とある船客は幾度かの深呼吸の後で、哄然としてその笑いを放った。
「無だな。」とまた誰かがその言葉を飛ばした。
「ロウリング、ロウリング、ロウリング。」と、ある少年は両手と両足とを思うさま踏鳴らして舞って廻った。
何処やらでは、のうのうと、声をそろえて羽衣を謡っていた。
笛を吹く人もあった。
まったく、大洋はいいなと思った。
何が世の騒壇であろう。幽人高士のあまりに少い今の乱脈さは、その気品の低く、香気の薄く、守ることの浅い不見識は、あの市井無頼の徒たりとも口にすることを恥ずる暴言と態度の賤鄙と(いや、それよりも下俗な覆面の残虐と私情の悪罵と)あの卑劣とは何事であろう。