Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
その老婆の枕のうえには、私は見て虔ましくなった、金の十六弁の菊の御紋章が光り、今上皇后両陛下に摂政宮と妃殿下の御尊像が並び立たせられた石版刷りの軸が一本、まことにありがたそうに掛け垂らしてあった、そのそよともせぬ閑かさ。
と、また、向うの壁と壁との隅、その高い上部にぶちつけた三角の小棚には何が恭々しく飾られてあったか。
ニコライ皇帝、
その皇后、
手札形の真鍮縁のその御真影こそはあわれであった。
私は黯然とした。
「撮影さしてください、ね、いいでしょう。」
医専の美少年のMがしきりに娘のナタアシャ(そういう名だったと思うがちがったかも知れぬ)へせびっていた。ナタアシャは顔を赤くして反射的に編針を持った片手をうち振っていた。気の少し強そうな、だが邪心のない素朴さが彼女の瞳に見えた。
どかりと、ペチカの方で、テエブルに何か投げ出す音がした。
黄がちの鼠の鳥打帽に鼠の服をつけた、眼の白っぽい、鼻の高い十五、六の少年が其処には突っ立っていた。何と長い脛だろう。
呼び売りの露西亜パンの函を紐ながら首からはずして、快活に此方を見たところだ。
「帰ったね。」
と、技手が声をかけた。