Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
イワンの顔も出た。
ナタアシャの顔も出た。
「なあんだ、じゃあ、並びたまえな。や、そうじゃないんだよ、小父さん真ん中だ、そら、そのとおりとおり。」
医専がひとりで、雨だまりの草っ原からうれしがってると、赤い露助のおやじさん、いよいよ固くなって、それこそ直立不動の姿勢になる。そうして物珍らしそうな、また、極りの悪そうなおどおどした眼つき。
なんと善良な露助だろう。
なんと無邪気なのっぽ。
なんと素朴な。
恐らく、生れて滅多に写真など撮ってもらったこともなかったかと思われた。
カチリ、
「よし、済んだ、ありがとう。あ、もういいんだよ。」
「写真送るか。」とイワン。
「送るよ。」
イワンがナタアシャを突き飛ばしそうにした。ナタアシャはイワンの肩を撲った。
雨はもう霽りかけていた。
すかんぽ、すかんぽ、紅更紗。
*
小沼の駅へ帰る途々も、私はクリロフ一家のことを考えていた。
かわいそうにみんなが気が弱くなっている。郷に入れば郷に従うのが最も滞りがなくてよいかも知れぬ。しかし果して彼らはいつまでも今のパン屋で暮らしてゆけるものか。たいして信じがたいとは感じながら、強いても取り縋らないでは安んじていられない流浪者の境遇こそはまたとなくあわれに思われる。