Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
「あれは誰ですか。」
「Iさんです。あの頬髭のある。」
「何を吹いているのです。」
「羽衣でしょうか。」
そうだ、天人の五衰を吹いているのだ。現実の切なさだ。いや、夢見る人の寂しさである。
「うまいのですかね。よくやっていますね。」
「うまい方でしょうよ。もう十年から稽古しているといっていました。舞台にも出るようですよ。」
「金春ですか。」
「いや、宝生でしょう。たしか。」
「玄人ですかな、あれで。」
「素人稽古の時はよく褒められたが、本気に遣り出してから以来、さっぱり褒めてもらえぬと悄気ていましたよ。そんなものでしょうかね。」
「そんなものでしょう。修業ですからね。お能の笛だけにはかぎりませんよ。」と私は初めて口を開いた。
「この頃臆していけないといっていました。」
「気合いひとつですからね。」と、また誰かがいった。
「それで何だそうですよ、稽古の時には碌に附けもしないで、いざとなるとヒタリと抑えてゆく豪胆な吹き手もあるそうで、これにはかなわぬといっていました。」
「それが腹なのでしょう。天性ですね。そうしてそれが心法にもかなったものでしょう。」
「型ばかりに囚われてはあがきがつかないということになるのですか。