Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
「よく眠ている。よく眠ている。」
「あっ、起きた。」
と、左側の中央部に、互に蒲団をきっちりと引きつけて、そうして、近々と向き合って寝ていた一組の若い夫妻の、その妻君の方が、ふっと眼を開けて、驚いたようにくるりと背を向けてしまった。
「あ。」
といったまま、私は階段を駈けあがった。
「いけない、いけない。早く早く。」
私たちはまた暗い甲板の上を歩いていた。
「や、無線電信が起きている。だな。じゃないかな。そうっとそうっと。」
幽かな、それは幽かな金属性の音律が、寂とした夜ふけの暗黒の中に、コチコチとカチカチと、それは遥かな白金光の小都会の何かの点音のように、絶えては続き、続きては絶え絶えしていた。だが、技師も今は眠っているはずだし、無電でもあるまい。それでは何の音であろう。幽界からの音信でも、何かが触知するのか。何か生きた者が、眼を開いてる者が、紙か、ペンか、受信機か、卓子か、椅子かの中にいる。
「あ、きこえる、あ、きこえる。」
*
「おおい、誰でん起きろ、おおい、先生が来た来た。来らしたぞ。」
船首へまた大迂回して、測量室の下まで来たところで、Yはいきなり大声を挙げて、三等船室の階段を駈け下りた。