Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
釜の中のは鰊粕であろう。粕の上には雨が降り溜り、脂がぎらぎらと浮いている。そのにおいだ。季節はずれだし、無論そこらには鰊らしいものは影も見えないで、たまたま昆布などがヒラヒラとしているきりであった。
と鴉が飛んだ。大きな黒い鴉だ。
ぞろぞろと汚らしい男女の童どもが出て並んだ家の戸口には、軒ごとに紙製の日の丸の旗が掲げられてあったが、それも紅が流れにじんでもうピラピラになっている。髭むじゃの男の顔も、そそけ髪の淫らがましい女の顔も、むさくるしい二階の窓から好奇らしく私たちを眺めていた。それはたった一軒の旅館兼料理屋らしかった。襖の染点までが浅ましかった。
大きい納壺の一つは戸が開けっぱなしになって、とてもすばらしい黒熊の毛皮がその形なりにぶら下っていた。その黒い黄の交った粗々しい毛並には雨霧が降っかかり、内側の白い皮までがすべすべと冷えきって何か無気味な、その納壺の奥には網が網臭く積まれ、土間には赤子を負った赤い髪の目の大きな女の子が、ただむっつりと時化波の荒海を眺めている。団員の二、三はその中へずかずかとはいって行った。吊るされた熊の毛皮がくるくると、顎から廻り始めた。