Japanische Klassiker mit Furigana
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フレップ・トリップ
フレップ・トリップ
北原 白秋
Lesen Sie フレップ・トリップ von 北原 白秋 (きたはらはくしゅう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 145.698 Zeichen · 293 Bildschirme
杖にしてついてである。
「ほう、それが樺太蕗ですか。」
「ええ、大きいでしょう。」
「何処に生えています。」
「やたら一面です。」
ほうとまた驚きながら私は登る。靴に巻きゲエトルだが、わざわざと普請して土もまだ柔かなところへ、大勢で雨の中を踏みくずしたのだ。靴も何も泥まみれになる。それに足がかりも悪く、坂は急になるので辷ることおびただしい。私はとうとうのめりそうになって、強く突き立てた蝙蝠傘に思わず全身の重みを托したので、それが弓のように撓むと、その柄からボキリと折られてしまったものだ。柄にもない華奢な洋杖蝙蝠傘などを買って来たのがそもそもの過りであった、私は苦笑して、その柄と尖とを両手に持った。
斜面の中腹に出たところに、例の天幕があった。天幕の裾ははたはたと風にあおられていた。人声がしきりに笑っているので、濡鼠のまま飛び込むと、それは私たちのために村の青年団の人たちが番茶の接待に出てくれているのであった。
麦酒にウイスキー、キャラメル。
まことに赤いシトロンと草の緑は天幕の内部を明るくする。
私は麦酒を技いて貰ったが、凄まじい強雨と荒海の潮鳴りとに耳傾けながら、この国境の山上で味う麦酒の味はひえびえとしてそれもいい記念になるだろうと思えた。