Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
どう見ても、黄色だね」
中山は写真機に黄色いフィルターをかけながら言った。彼はその写真機の前に、すこし惨めそうな顔になって立っていた。
「そんなに黄色かねえ」
「黄色かねえって、まるで夏蜜柑だよ」
そして中山はうつむいてレンズの位置を定めた。彼は両手をぶらりと垂れて、中山の赤い鼻を眺めていた。焦点がうまく定まらないらしく、中山は身体を動かしながら、なかなかシャッターを切らなかった。それを見ながら彼は、写真機のなかに倒逆して映った自分の黄色い顔を、想像するともなく想像していた。倒逆し凝集した彼の顔の背後にも、精神病院の灰色の建物がうつっている筈であった。写真は不馴れと見えて、中山は首をかしげたり、機械を傾けたりして、なかなかはかどらなかった。――
精神鑑定の件については、やはりその時でなければどうなるか判らないし、また法廷が精神鑑定の申請を受諾したとしても、その件がこの病院に依嘱されてくるかどうかも確実でない、というのが知己の医師の返事であった。三元の事件をかんたんに説明したが、医師はほとんど興味を示さない風であった。
「別段おかしいところは無いじゃありませんか。