Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
筋道は通っているし――」
医師は彼の話を聞き終えると、そう言った。そういえばそうだ、と彼も思った。しかし三元の行為を、筋道の通るように整理して話したのは、彼自身であることに、彼は次の瞬間気付いていた。中山は彼の隣に腰かけて、終始口をつぐんでいた。
「折角おいでになったんだから、院内でも見物しておいでになりますか」
そして始めに脳の手術室を見せてもらった。それはへんてつもない、狭い殺風景な部屋であった。しかし医師が戸棚から出した大型のケースを開いたとき、彼はなにかひりひりするようなものが身体を走りぬけるのを感じた。それは手術の器具であった。大きなメスや、小さなメスや、小型のドリルや、その他いろんな形の器具が整然と収められ、鈍色に磨き上げられていた。ドリルは頭蓋に穴をあけるためのものであった。そしてメスを穴からさしこんで、前頭葉の組織を切り離す。メスは刃のにぶい、鈍重な形をしていた。
「脳というのはね、半熟の卵みたいにぶよぶよでしてね、切り離すとき血管を切断すると大変でしょう。だからこんなに鈍い刃を使うのです。こんな具合に手探りしながら――」
医師は両手でメスを操作する仕草をやって見せた。