Japanische Klassiker mit Furigana
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ボロやのしゅんじゅう
ボロ家の春秋
梅崎 春生
Lesen Sie ボロ家の春秋 (ボロやのしゅんじゅう) von 梅崎 春生 (うめざきはるお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.411 Zeichen · 263 Bildschirme
押しつけがましく言う。だからその都度、私も訊ねてみる。
「他の家でも、皆そうなのかね?」
「へえ。皆さんから、そうしていただいていますんで」
「そうかねえ。川島さんも、遠藤さんも、古畑さんも?」
「ええ。ええ。(舌打ちしながら)古畑さんは、別ですよ。あそこは、あんなんだから」
古畑夫妻は方面委員の生活保護を受けていて、汲取券も現物でどっさり来るらしい。余ると見えて、その分を一枚五円で、ネギさんが私の家に売りに来ることがある。買っても汲取屋が取って呉れないのだから、私はなかなか買わない。しかしネギさんも、なかなか諦めようとはしない。そんな時の彼女は、卑屈なほど哀れっぽいくせに、執拗なほど強情である。その口説を私がもて余す瞬間を、じっと待ち伏せているように見える。しかし私はなかなかもて余しはしない。
「ねえ。一枚五円でございますよ。ふつうの値段の半分ですから、お宅さまにしましても、その方がお得じゃございませんか。ねええ」
彼女は汚れをふせぐために、いつも白い布片を、着物の襟にかけている。髪を引詰めるように結っているので、眼尻がすこし上に引きつれている。私がちょっとでも黙りこむと、いちはやくその隙間に早口でぼそぼそと言葉を並べたてる。