Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
Lesen Sie 上杉謙信 (うえすぎけんしん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.102 Zeichen · 256 Bildschirme
彼が太鼓を用いたので、此方はわざと鉦を用いたものだともいう。
いずれにせよ、いまや明らかに、相互の敵を相互に見た。眼に、耳に、足の先に、総毛立つ全身の毛穴に。
いつか。空には、陽がのぼっている。
陽の位置でみると、時刻はちょうど朝の卯の下刻(午前七時)ごろかと思われる。霧はまだ霽れきらないが乳白色に透明を帯び、湯けむりのように乱流騰下してその膜の薄いところへかかると、川中島いちめんから、犀川千曲はいうまでもなく、遠い妙高、黒姫の連山にいたるまで、明るくて朧なすがたを浮き出させた。
「近いぞ。もう近いぞ」
「四、五十間」
「いや、三十間ほどしかない」
先陣のまたその最も前方に這い屈んでいるのは、山県三郎兵衛麾下の一小隊の鉄砲組だった。
「……まだ。まだだぞ」
弾薬を装填して、わずかの窪地の蔭から、銃口を敵へ擬しながらも、距離を考えて、容易には放たなかった。
「二十間まで待て。思いきって、近寄せろ」
組頭だろう。後からいう。
狙いすましたまま、構えている銃手にとっては、実に長い。
そうしている間も、ちょっと油断すると、秋草のしとどな露に、火縄は消してしまうし、弾薬は湿めらしてしまう。