Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
うえすぎけんしん
上杉謙信
吉川 英治
Lesen Sie 上杉謙信 (うえすぎけんしん) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 129.102 Zeichen · 256 Bildschirme
「ここ篤と、利運の御思案が大事と思われまする。武田家の危機、焦眉にありというも過言ではありませぬ」
と、兄にも決心を促した。
信玄は、かえって、
「典厩か。何しに来た」
と、落着きはらい、信繁が、眼に涙をたたえながら、
「今生のお別れに――」
と、一礼というよりは、涙をかくすためにうつ向くと、信玄はくわっと睨めつけて、
「汝はまだ、ここの戦場に、肉親の者がおるなどと、胸のどこかに、覚えておるのか。信玄には大切な二万の兵あることのほか、弟など、おるともおらぬとも、考えたことはない。要らざる情、陣務の妨げ、はや立去れっ」
と、叱りつけた。
「不覚でした。おゆるし下さい」
典厩は、涙をはらって、兄の本陣を出、馬をとばしていた。すると、
「信繁公におわさずや」
と、後ろで、声をかける者がある。見まわすとここは山本勘介道鬼の陣前だった。
「おお、道鬼か」
「はや乱軍とみえまする。かかる中にはからずも、おすがたを拝し得たのは、尽きせぬ今生の御縁。多年、御厚恩をこうむりましたが、入道も今日は、長のおわかれを告ぐる日と存じます。御武運、お久しくおわせ」
ここの陣地も、はや前方の柵は突破され、敵とも味方ともわかぬ死屍は算を乱し、槍の折れ、踏みしだかれた旗さし物など、凄愴の気はみちている。