Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうひんよっつ
中勘助随筆集
中 勘助
Lesen Sie 中勘助随筆集 (しょうひんよっつ) von 中 勘助 (なかかんすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.694 Zeichen · 32 Bildschirme
断片。魚のように喘ぎつづける。痩せ細ったその手をとりつつ思う、私どもは五十年母と呼び子と呼びあった。お互のこの呼び名もいま暫くのあいだである。
大きな自然の力によって律法、道徳、等、等多年の障碍が取除かれたがために私どもは赤裸裸の親子として完全に相愛することができた。これがいわば最高の道徳である。
母とのみいわず、凡て家人に対するこの年頃の奉仕に何らかの報恩、または悔過の意味があるとするならばそれは甚しい誤りである。これは私の自然であり、持って生れた愛である。そうして律法的にはもとよりただのあたりまいのことだけれども、道徳的にはしがない私の生涯における最も大きな建設である。
断片。病勢? は急に進んできた。呼吸困難。昏睡。
お互に認識しあう機会は永久に去ったかとあきらめてたら夜の十一時になってひょいと目をあいた。手をとる。みず みず というので少しずつ匙でのませる。やっと嚥下することができる。一夜の宿をかした旅人の別れ去ったのがふとふりかえって遠くからもう一度挨拶をしたような気もちだ。
断片。右にも左にも向くことができず、舌がもつれてものもいえず、仰臥したまま徒に意識ばかりはっきりしてる母の手をとって一日を暮す。