Japanische Klassiker mit Furigana
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ひかりとかぜとゆめ
光と風と夢
Lesen Sie 光と風と夢 (ひかりとかぜとゆめ) von Nakajima Atsushi (中島 敦) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 79.032 Zeichen · 158 Bildschirme
追記――一旦、床に就いてから、種々考えた末、右の考を稍々訂正せねばならなくなった。自己告白が書けぬという事は、人間としての致命的欠陥であるかも知れぬことに思い到った。(それが同時に、作家としての欠陥になるか、どうか、之は私にとって非常にむずかしい問題だ。或る人々にとっては極めて簡単な自明の問題らしいが。)早い話が、俺にデイヴィッド・カパァフィールドが書けるか、どうか、考えて見た。書けないのだ。何故? 俺は、あの偉大にして凡庸なる大作家程、自己の過去の生活に自信が有てないから。単純平明な、あの大家よりも、遥かに深刻な苦悩を越えて来ているとは思いながら、俺は俺の過去に(ということは、現在に、ということにもなるぞ。しっかりしろ! R・L・S・)自信が無い。幼年少年時代の宗教的な雰囲気。それは大いに書けるし、又書きもした。青年時代の乱痴気騒ぎや、父親との衝突。之も書こうと思えば書ける。むしろ大いに、批評家諸君を悦ばせる程、深刻に。結婚の事情。これも書けないことはないとしよう。(老年に近く、最早女でなくなった妻を前に見ながら、之を書くのは頗る辛いことには違いないが)しかし、ファニイとの結婚を心に決めながら、同時に俺が、他の女達に何を語り何を為していたかを書くことは? 勿論、書けば、一部の批評家は欣ぶかも知れぬ。