Japanische Klassiker mit Furigana
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いりむこじゅうまんりょう
入婿十万両
山本 周五郎
Lesen Sie 入婿十万両 (いりむこじゅうまんりょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.650 Zeichen · 22 Bildschirme
「殿へもお暇を願ったと……?」
源兵衛はその一言でがっかりした。
「御承知くださいまするな」
「――――」
「では早急ながら支度がござりますゆえ」
と浅二郎が立とうとした時、
「お待ちくださいませ」
と云いながら不由が入ってきて、静かに浅二郎の前へ坐った。
「様子は次間にいて伺いました、大阪へお帰り遊ばすとのことでござりますが、それなればわたくしもお伴れくださいませ」
「――それは、何故でござるか」
「わたくしは貴方様の妻、妻は良人に従うが道でござります、――それに貴方様はいまわたくしを清浄無垢と仰せられましたが、わたくしはもはや身籠っておりまする」
これは驚くべき一言だった。
「何を仰せらるる」
浅二郎は呆れて、「御当家へ参って以来、一夜たりとも閨を共にせぬ事、御許御自身とく御承知の筈ではないか」
「例え閨は共にせずとも、夫婦して同じ家の内に棲めば良人の気が籠って妻は身籠ると、――下世話にも申してござりまする」
「や、や――うまいぞ!」
源兵衛がいきなり喚いた。
「うまいぞ娘、同じ家におれば、ひとつ寝せずとも男の気が籠って懐妊するか、あっぱれだ、よくそこへ気がついた、浅二郎こいつは道理だぞ」