Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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いりむこじゅうまんりょう

入婿十万両

山本 周五郎

Lesen Sie 入婿十万両 (いりむこじゅうまんりょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.650 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

三

あの冷たい眼の底に時々ひらめく火花のような光は何だ――? この頃どうかするとおれは、あの眼の色が頭について忘れられなくなってきた。不思議な娘だ……」

「浅二郎――」

廊下で不意に、源兵衛の声がした。

「はい」

「不由は居るか」

様子を見にきたのである、浅二郎は苦笑しながら声をひそめて、

「お静かに願います、いまよく睡ったところでござりますから」

「そうか、――冷えるのう」

源兵衛は安心したように云うと、跫音を忍んで自分の寝間の方へ立去った。――燈の消えた闇の中で、隣にむなしく延べてある妻の嬌めかしい夜具を見まもりながら、浅二郎はまじまじといつまでも眠れずにいた。

三

国老厨川靱負は浅二郎を呼んで、

「どうするのだ」

ともどかしげに云った。

「もうこれ霜月十日、山屋の仕切日まで余すところ僅かとなっている。もう何とか方策が建ったであろう」

「は、いましばらく、――」

「しばらくしばらくと云って何をしているのか、聞けば六十余日になる今日までろくろく書類も検めず、ただ書庫へ入って御家譜の繙読のみいたしておるそうだが、――埋蔵金の記録でも捜出そうと云うのか」

明らかに皮肉である。