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Japanische Klassiker mit Furigana

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いりむこじゅうまんりょう

入婿十万両

山本 周五郎

Lesen Sie 入婿十万両 (いりむこじゅうまんりょう) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.650 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

「弱った、また悶着だな――」

呟きながら奥の間へ行ってみると、燈の側に不由が端坐していた。果して……澄透るような凄艶な顔に険しいものが見える、浅二郎は大剣を刀架へかけて静かに坐った、

「――浅二郎さま」

不由は黒耀石のような眸子に、冷たい光をうかべながら向直った、

「これはどうした訳でござります」

「私は知らないのです……」

「お言葉にお気をつけ遊ばせ!」

ぴしりと叩くように遮って、「何度も申上げるように、商人の頃なら知らぬこと、武士には武士の言葉つきがござります、さような生温い口振りを遊ばしては矢走家の体面にも関わりまする」

「――気をつけましょう」

「貴方は父に何を仰有いました」

浅二郎は逆う様子もなく、

「別に何も申した覚えは……」

「ない事はございますまい。貴方が仰有らないでこんな事になる筈がありませぬ、武辺一徹の父に、――夫婦の閨の事など察せられると思いますか」

「実際のところ知らないのです」

そう云う浅二郎の顔へ、不由は冷やかな一瞥を与えながら云った、

「改めて申上げるまでもありませぬが、例え父の申付で祝言こそ挙げたれ、わたくしには心を許せぬ方に身を任す事などできませぬ――お分りでございましょうね」