Japanische Klassiker mit Furigana
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まんじ
卍
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 卍 (まんじ) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 133.618 Zeichen · 258 Bildschirme
いいますねん。そんで夫も私も、衰弱の余り楽しいことも嬉しいことも感じんようになってしもたら、もうその時がこの世の終りやと観念してて、今日死ぬか明日死ぬか思いながら生きてましてん。
ああ……ほんまに私、その予想の通りになってあの時一緒に殺されたらどない幸福でしたやろ。それがこないな思いかけぬ結果になってしもたのんは、あの新聞に記事出たのん第一の原因ですのんで、なんでもあれ九月の二十日頃でしたやろか、或る朝夫が「ちょっと起きてくれ」いいますよって、何や思たら、「誰やこんなもん送って来た奴ある」いうて、いつも見たことない新聞の三面のとこ広げてて、そこ覗いてみましたらあの綿貫に書かされた書付大きな写真にして載せたあって、仰山なこと書き立ててある見出しの上に、赤インキで二重円の印附けたあるやあれしませんか。それも一日だけやない、記者の手許に材料たんと集まってるさかい、連日にわたってこの醜悪なる有閑階級の罪状を摘発すべしという予告したありますのんで、「それ見なさい、やっぱり綿貫に欺されてたんや」いいましたもんの、もうその時は案外度胸すわってしもてて、口惜しいとも忌ま忌ましいとも思わんと、「いよいよ最後の時来た」