Japanische Klassiker mit Furigana
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なんぽうゆうしん
南方郵信
中村 地平
Lesen Sie 南方郵信 (なんぽうゆうしん) von 中村 地平 (なかむらちへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.899 Zeichen · 42 Bildschirme
色の黒い船長の顔も、帽子に隠されていた額だけは白い。船長は逞しそうな、牡山羊をふり返った。
「どうです、アコン。すごい奴でしょう。船のなかで暴れて手こずりましたよ」
旦那や、奥さんや、二人の女中や、数名の若い衆たちが、賑かに中庭から現われると、牡山羊は突然気がたったように、猛烈な勢いで、前脚を突ったて、尻ごみして船長を困らせる。
山羊の夫婦は、裏庭の無花果の樹につながれた。
額の汗を大きなタオルで拭いながら、船長が旦那に挨拶している間、三太は母親の腰にまつわりついて、初めて見る家畜を熱心に見つめていた。蹄は石炭のようにまっ黒で、角には美しい縞目があり、外套のように房々した白い毛でおおわれている。
「犬よりか、山羊の方が強かな、お母さん」
騒々しい人声のなかで、牡山羊は、後脚をぽんとはねて逆だちしたり、首につながれている綱をいっぱいに張って、幹の周囲をぐるぐる駈けまわったりする。三太は土の上にかがんで、両手の拳をつきだし、体いっぱいに力んで号令する。
「もっと走れ、もっと天まではねい」
牡山羊が暴れるたびに、無花果のひろい朽ち葉が、背に散りかかる。牝山羊は青空に頭をむけ、鼻の穴をひろげて「ミイ、ミイ」