Japanische Klassiker mit Furigana
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なんぽうゆうしん
南方郵信
中村 地平
Lesen Sie 南方郵信 (なんぽうゆうしん) von 中村 地平 (なかむらちへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.899 Zeichen · 42 Bildschirme
びっくりして思わず三太は手をはなす。
肥料小舎の板壁をバックにして、間もなく三坪ほどの檻がつくられた。
山羊の夫婦はそのなかで、とんぼ返りをうったり、金網に体をすりよせたり、鋭い歯で板や、針金をガリガリ噛ったりして、暮している。しかし、時折り牡山羊は檻から外へ滑べり出て、菜園の霜柱をピョンピョン踏みつぶしながら、表の通りへ逃げ出してゆくことがある。そういう時、いつもは物音しない部落に、忽ち雲のような騒ぎが湧きたつ。退屈しきっている部落の老人や、若い者、特に子供たちが、手に手に棒ぎれや、竹竿をもって、面白半分に追いかけ廻すからである。
牡山羊は大抵、狭い露地の奥や、薄暗い瀬戸合いの突き当りで、壁に低く頭をぶっつけながら、慌てふためいて後脚ではねている姿を誰かに発見されるのが常である。そこへ源吉爺さんは息せき切って駈けつける。そして、家出した孫でも発見したように、ほっと安堵する。しかし、すぐにむらむらと腹がたってきて、棒ぎれで尻に一撃を喰わす。
「なにが不足で、わりゃ嬶を置き放して、逃げるんか」
しかし、山羊は騒々しい弥次馬たちに、けろりとした顔をふりむける。