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Japanische Klassiker mit Furigana

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なんぽうゆうしん

南方郵信

中村 地平

Lesen Sie 南方郵信 (なんぽうゆうしん) von 中村 地平 (なかむらちへい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.899 Zeichen · 42 Bildschirme

Aozora Bunko

尤もこの地方の百姓たちで、もしそれがあきっぽい性格なら、百姓をやめて他国に移住するか、自殺でもするよりか仕方がない。この地方の百姓の生活といえば、丁度川がながれ来たり、ながれ去るのに似ていて、全く単調で、変化というものがないのである。

ある午後――

牧の旦那は菜の花畑から騎首をめぐらして、夫婦池の傍らへと出た。

池は椎の樹だちに包まれているが、樹の下径は薄暗く、いつも湿っていて、トヨの蹄の音は土のなかに吸いとられてしまう。辺りには物音ひとつしなかった。樹だちの幹の間から、源吉爺さんが、ふと池の面を眺めると、水の上には季節外れの鴨が三羽降りていた。

中の一羽は静かに羽根を畳み、悠々とながれるように泳いでいたが、他の二羽はなにか餌でも見つけたのであろう。思いきり首をのばし、ひどく大きく見える翼で、はげしく水面を叩きながら、滑走していた。

源吉爺さんは、ふっとあることを思いついたが、歩きながら、旦那の方はふりむきもしないでつぶやいた。

「旦那。うちで家鴨は飼いなさらんか。裏の川にはなして置けば、なんの面倒も要らんですど」

しかし、旦那はまるで爺さんの言葉は耳に入らないように、放心した顔つきをしていた。