Japanische Klassiker mit Furigana
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げんばくししゅう
原爆詩集
峠 三吉
Lesen Sie 原爆詩集 (げんばくししゅう) von 峠 三吉 (とうげさんきち) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 20.927 Zeichen · 43 Bildschirme
ものも カバーをかけた火の包茎
女はまたぐらに火の膿を溜め 異人が立止ってライターの火をふり撒くと
われがちにひろう黒服の乞食ども
ああ あそこでモクひろいのつかんだ煙草はまだ火をつけている
ぼくらはいつも炎の景観に棲む
この炎は消えることがない
この炎は熄むことがない
そしてぼくらも もう炎でないと誰がいえよう
夜の満都の灯 明滅するネオンの燠のうえ トンネルのような闇空に
かたまってゆらめく炎の気配 犇めく異形の兄弟
ああ足だけの足 手だけの手 それぞれに炎がなめずる傷口をあけ
最後に脳が亀裂し 銀河は燃え
崩れる
炎の薔薇 あおい火粉
疾風の渦巻き
一せいに声をあげる闇
怨恨 悔 憤怒 呪詛 憎悪 哀願 号泣
すべての呻きが地を搏ってゆらめきあがる空
ぼくらのなかのぼくら もう一人のぼく 焼け爛れたぼくの体臭
きみのめくれた皮膚 妻の禿頭 子の斑点 おお生きている原子族
人間ならぬ人間
ぼくらは大洋の涯 環礁での実験にも飛び上がる
造られる爆弾はひとつ宛 黒い落下傘でぼくらの坩堝に吊りさげられる
舌をもたぬ炎の踊り
肺のない舌のよじれ
歯が唇に突き刺り 唇が火の液体を噴き