Japanische Klassiker mit Furigana
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うもんとりものちょう
右門捕物帖(三)
佐々木 味津三
Lesen Sie 右門捕物帖(三) (うもんとりものちょう) von 佐々木 味津三 (ささきみつぞう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 241.558 Zeichen · 480 Bildschirme
では、おやじ、その三十六本はもう一筋も残っていねえんだな」
「へえ、さようでござります。毎日毎日のお花見騒ぎで、手代はじめ職人どももみんな浮かれ歩いておりますんで、ここ当分あと口の染め上げは差し控えておりますんでござります」
「いかさまのう――」
いいつつ、じろりと移したその目に、はしなくも映ったのは、おやじのひざわきに積み上げてある型紙の山です。染めあげた日取りの順序に積み上げてでもあるとみえて、いちばん上に置かれてある一枚に不審な点が見えました。
第一は紋、梅ばち散らしの紋が型ぬきになっているのです。いうまでもなく、梅ばちは加賀家のご定紋でした。
第二はその長さ。まさしく型紙の長さは、手ぬぐい地の寸法なのです。――同時に、きらりと鋭くまなこが光ったと見えるや、名人のさえまさった声が飛んでいきました。
「おやじ! 妙なことがあるな」
「なんでござります?」
「そのいちばん上の型紙よ。たしかにそりゃ手ぬぐいを染めた古型のようだが、違うかい」
「さようでござります。ついきのう染め上げて、もうご用済みになりましたんで、倉入りさせようといま調べていたんですが、これが何か?」