Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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よっつのみやこ

四つの都

織田 作之助

Lesen Sie 四つの都 (よっつのみやこ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.005 Zeichen · 62 Bildschirme

Aozora Bunko

一四 東大寺大仏殿。

一五 大仏殿の附近。

庄平(声だけ)「明日は京都へ行って、大橋先生に相談して来ようと思うんです、今度の仕事の事で」

一四 東大寺大仏殿。

五丈三尺五寸の大毘盧遮那仏。

庄平大仏を見上げている。眼鏡をとって再び見上げる。

一五 大仏殿の附近。

庄平眼鏡をとったまゝ歩いている。

大仏を凝視していたのと、眼鏡をとっているせいで、彼には物がちいさく見えてならない。

庄平一人大きくなった気持で、悠々と歩く。浩然の気!

突然、

「軍医さん!」

と、呼ばれる。振り向くと辻節子だ。(ハワイ帰りのお嬢さん)

庄平、あわてゝ眼鏡を掛ける。とたんに、錯覚が癒り、もう辻節子は実物大に見える。

庄平「あ、あなたでしたか、今大仏を見て来たので、ものが小さく見えて仕方がなかったんですよ、あなたに会うたとたんに、普通の大きさになりましたが」

そう言いながら、そこらあたりじろ/\見廻す。

節子「昨日汽車の中でお眼に掛って、今日また奈良でお会いするなんて、本当に奇遇ですわ」

庄平(稍や冷淡に)「僕は、昨日昭南島で会うた男に、今日ジャワで会うたという経験がありますがね」

節子「これから、どちらへ?」

庄平「いや、別に何処と言って。実は奈良へ来る積りじゃなかったんです、京都へ行く積りで京阪電車に乗った筈が、うっかり関急電車に乗ってしまったので、着いてみると奈良だったという訳です」