Japanische Klassiker mit Furigana
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よっつのみやこ
四つの都
織田 作之助
Lesen Sie 四つの都 (よっつのみやこ) von 織田 作之助 (おださくのすけ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 31.005 Zeichen · 62 Bildschirme
があるだろう?」
葉子「えゝ、あるわ」
十吉「その中の『雨だれ』というのを掛けてみてくれ、たしか十六番だ」
鶴三「『雨だれ』なら、十八番だ、蜂谷さんの、だって、雨の音楽だろう?」
三人、笑う。
その楽しそうな、内部の雰囲気を、硝子扉の外から、覗いている少年がいる。
雨に打たれて――新吉だ、中へはいりかねている。
(扉がしまっているので、中の音楽や笑い声は聞えない)
中では『雨だれ』が鳴っている。その雨滴の如く、ポトリ/\落ちて来るリズム。
硝子扉に雫が伝っている。その扉に新吉の瞳を凝らした白い顔が吸いついているが、誰も気づかない。
十吉「巷に雨の降る如く、わが心にも雨が降る……か、こういう詩知っているかい、葉子ちゃん」
葉子「うちはハイカラな文句は何にも知らん」
鶴三「うちは流行歌は扱わない事になってますんでね」
葉子「蜂谷さんの文句、みんな雨のことばっかし」
十吉「自分でも情けないと思うよ。畜生! 処で、僕が南方へ行ってしまったら、寂しがってくれる人がいるかな」
葉子「喜ぶ人もいるわ」
十吉「誰だ、そいつは」
葉子「夜店出しのおっちゃん」
この時、店の間の小鳥が突如鳴声を立てる。