Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとじ・しなのじ
大和路・信濃路
堀 辰雄
Lesen Sie 大和路・信濃路 (やまとじ・しなのじ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.165 Zeichen · 115 Bildschirme
僕はまえから雪の信濃路を見たがっていた学生のM君を誘ったり、一しょに往く筈だった妻の都合が悪かったりして、すこし出かけるのに手間どり、妻だけ二三日あとから来させることにして、漸っとその小さな冬の旅に出たのは、それから四五日たってからのことだった。……
ゆうがた着いたその山の村には、数日まえの雪はもう殆ど消え、林の中などにところどころわずかに雪らしいものが残っているきりだった。そんな一つの林の奥に、K君たちが冬ごもりをしている山小屋がある。
「まあ、よくいらっしゃいました」その小屋の中から飛びだしてきて僕たちを出むかえた万里子さんは、一とおり挨拶がすむと、さも困ったように大きい目をしてまじまじと僕の方を見ながら言った。「――でも、もうすっかり雪がなくなってしまっていて。なんだか……」
「いやあ、雪なんぞはどうでもいいですよ。」
僕はあわてて手をふりながら、それを遮った。
「こないだの雪は午前中ふったきりでしたの。大ぶ積ったことは積りましたけれど、午後から日があたって見る見るとけていってしまうので、あんな手紙なんか出してしまって、気が気でありませんでしたわ。