Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとじ・しなのじ
大和路・信濃路
堀 辰雄
Lesen Sie 大和路・信濃路 (やまとじ・しなのじ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.165 Zeichen · 115 Bildschirme
だが、ああして一人っきりでもって、よく暮らしていられるものだなあ」
「本当によく暮らしているね。……」K君も考え深そうに答えた。
「だが、人のことよりか、君も寒がりのくせに、こんなところでよく我慢しているね。――どうして暮らしているだろうと、ときどき噂をしていたよ。」
「暮らそうとおもえば、どんなことをしても暮らせることが分かったよ。それに寒さだって、こういうものだと思ってしまえば、いくらでも我慢していられるね」
「でも、万里子さん。」と僕は言葉を挿んだ。「あなたの方の為事は大へんでしょう?」
「そんなでもありませんわ、いまのところ何んにも困りませんの。」万里子さんはそんな事はいかにも何んでもなさそうな答えかたをした。
「そりあ困らないわけさ、一週間も同じものばかり食べさせられていても、僕はなんにも言わないんだもの。」K君はそうは言っても、すこしも不平そうではなかった。むしろ、そういう山のなかの簡素な暮らしを好んでいるようにさえ見えた。
夕食は、しかし山のなかでは思いがけない御馳走だった。ひさしぶりに四人で鳥鍋をかこみながら身も心も温かになって、世はさまざまな話をするのは愉しかった。