Japanische Klassiker mit Furigana
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やまとじ・しなのじ
大和路・信濃路
堀 辰雄
Lesen Sie 大和路・信濃路 (やまとじ・しなのじ) von 堀 辰雄 (ほりたつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 58.165 Zeichen · 115 Bildschirme
……」
「結局、一人でさびしくってしようがないんだな。こっちにいる他の外人とは全然つきあわないのかい。」
「どうもその女だけ除けものにされているらしい。村の人にきくとあの女はしようがありませんと云って、てんで相手にならないんだ。」
「そんななのかい。――僕はどういう素性の女かよく知らないが、夏なんぞその女が奇妙ななりをして、買物袋をぶらさげながらなんだかしょぼしょぼして歩いているのを見かけては、何者だろうとおもっていたんだがね。あれで、この夏聞いたことだが、恋人がいるんだそうだ。毎夏やってくるハンガリイの音楽家でね、その男と町などで逢うと、人中だろうと何だろうと構わずに立ち止まって、黙ってその音楽家の顔を穴のあくほどじっと見つめているのだそうだよ。それがもうかれこれ十年来の意中の人なのだそうだ。」
「あの女にもそんな話がね。」K君はうなずいていた。
「どうもこんなところに来ている外人には突拍子もない奴がいるものだな。――夏あんなに見すぼらしいなりをしていた女が、冬になって誰れもいなくなると、急にすばらしい毛皮の外套なんぞを着込んで林の中をあるいていようなんて、想像もできないことだよ。