Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

そこで、せっかく合奏に興の乗りかけた「千鳥の曲」は曲の半ばで立消えになりました。

それでも三人のうち、誰ひとり、文句を言うものはありません。最初に曲をやめたのは竜之助でありましたけれど、聞いたところでは、三人申し合せて同時にやめたもののようであります。陰深な土蔵の中は、無人の境のように静まり返って、やや暫くの後に、

「何か傷心のことがございましたね」

弁信法師が、やっとのことで、下から上へ向けて言葉をかけました。

二階からは、早速の返事がありません。

「傷心のこと」というのは、少しくしゃれた言葉であります。傷心という言葉を、文字で現わさずに音で現わしたから、二階の二人も、ちょっと戸惑いをして、そのままに受取ることができなかったのかも知れません。

そこで弁信は、三味線をさしおいて、琵琶の修繕にとりかかりました。

「いかがでございます、先生、明晩あたりは町へお出かけになってごらんになりませんか、お伴を致しましょう。あなた様が短笛を鳴らしてお出かけになりますならば、私が……左様、琵琶はまだ出来上りませんし、三味線では、うつりが悪うございますから、私も、やはり短笛を吹いてお伴を致しましょう。