Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
例の駕籠がどこから出て来たか、その小仏峠の方を指して一散に飛んで行きます。これもいつのまにか旅仕度をしていた竜之助は、やはりその駕籠に引添うて道を急いで行くうちに、橋を渡ると追分になっていました。
駕籠は追分を左へ一散に急ぐのに、竜之助だけが右へそれてしまいました。右へそれては駕籠を見失ってしまうにきまっているけれども、行手に見える小仏の峠へ出るには、どうしても右へ行かなければならないと思われてなりません。左へ行くのは嘘だと思われてなりません。右へたった一人で急いで行くと、最初のうちは、左の道に、畑や、林や、流れを隔てて駕籠の飛んで行くのがよく見えました。急ぐほどに双方の距離がようやく隔たって、とうとう見えなくなりました。駕籠が見えなくなった時分に、峠も見えなくなりました。
ははあ、小仏へ出るには、あちらの道を通るのがよかったのだな、と気がついたけれども、もう引返す道さえわかりません。四方はいっぱいに雲と霧がとりまいて、自分は今、かなりの深山幽谷にさまよっているということを発見しました。
「どうも仕方がない」
と呟いて草鞋の紐を締め直しました。その時に、つい耳もとで、どうどうと水の鳴る音が聞えます。