Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
わざと多くのともをつれないで、微行の体の遠乗りであったが、そのうちの一人が、逞しい下郎に槍を立てさせていました。
その槍は九尺柄の十文字であります。それがちょうど、この店の下へ通りかかった時に、運悪く二階の上からクルクルと舞い下って、この十文字の槍の鞘にひっかかったのが、鎖紐の煙草入であります。根付とかますとが、十文字の鞘で支えられたのだから、ちょうどいいあんばいにひっかかったのではあったけれども、それが大事の槍であったから、槍持の奴は嚇としました。槍持の奴と面を見合せた馬上の侍は、むっとして言わん方なき不快の色を示して通り過ぎたけれど、この槍持奴だけは、根の生えたようにそこへ突立って動きません。
仁王立ちに突立った槍持奴は、槍の鞘にひっかかった煙草入を取ろうともしないで、そのまま大地に突き立てて、頭から湯気を立ててこの家の二階を睨み上げています。
さしも騒がしかったこの店が、その時に水を打ったように静かになりました。店の者が一人も残らず面の色を青くしました。往来の人も歩みをとどめてしまいました。
そこへ店の中から転り出したのが例の平さんでありました。