Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

ながめたところでそこは壁です。甚三郎はその壁の一方を見つめていると、寅吉は、やはり同じ方面を見つめて、押黙ってしまいました。

「ヤア!」

二度目に気合の声があったのは、それからやや暫く後のことでした。

「斬合い!」

寅吉が身の毛をよだてると、甚三郎は幾分か興味あるものの如く、その物音に耳を澄ましていましたが、やがて、

「面白い、ドチラも辻斬じゃ、辻斬同士が柳橋を中にして斬り合っているのじゃ、命知らずと命知らずが、ぶつかって、あそこで火花を散らしている」

と言いながら微笑しました。

この時代においては、辻斬ということは、そんなに驚くべきほどのことではありません。深夜に一旦外へ踏み出せば、自分が斬られるか、或いは斬られて倒れているものを発見することは、さして難いことではありません。

けれども、船宿の二階に離れていて、霜に冴ゆる白刃の音を、遠音に聞いているというような風流は、ちょっとないことです。本来、船宿の二階というものは、真剣勝負の白刃の響きを聞いているべきところではありません。江戸時代の船宿の二階というものは、もう少し違った風流の壇場でありました。

潮来出島の十二の橋を