Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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だいぼさつとうげ

大菩薩峠6

中里 介山

Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme

Aozora Bunko

。さりとて、先方が全然無抵抗であるとはいえ、もと、人間の暴力には限りがあるものであります。放っておけばおのずから疲れて、暴力そのものが無抵抗の中へ沈没してしまうにきまっております。神尾はついに綿の如く疲労してしまいました。それでも、水が飲みたくなると共に、井戸までのたって行くの本能だけは残っておりました。

例の井戸のところまでのたりついて行って、無暗に水を汲み上げて、釣瓶に口をつけてガブガブと飲んでいたが、いい加減飲むと共に、その残った水を頭からザブリと被り、

「ああ、いい心持だ」

つづいて釣瓶を繰り卸して汲み上げると共に、水をまた頭からザブリと被って、

「なんといういい心持なことだ」

釣瓶を卸して二杯三杯汲み上げては、それを頭から被り、頭から被っては、また汲み上げるのが、やはり正気の沙汰ではありません。五杯も十杯も十五杯も汲んでは被り、被っては汲み、その度毎に、車井戸の車がけたたましい音を立てて火の発するほどに軋ります。程遠からぬ庭の土蔵の二階には、この車井戸の音が大嫌いなお銀様が、もしいるならば、今頃もたしかに、血を刺して、お経を書いていなければならないはずです。