Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
しかし、左様な物音が聞えないからといって、それは決して神尾主膳がこの場を去って、母屋へ引揚げたのではありません。神尾主膳は今もなお土蔵の周囲をうろうろしながら、よろめく足を踏み締めては酔眼をって、槍は片手に、そこらあたりから頻りに物を掻き集めています。その掻き集めている物というのは、荒れた庭内に落ちている杉の枯葉だの、木の枝だの、竹の折れだのという物を、手に任せて掻き集めているのであります。危なっかしい手つきで、それを掻き集めては例の土蔵の戸前へ持って来て、無暗に積むものだから、忽ち小山のように盛り上げてしまいました。
「占めた!」
最後に神尾主膳が、槍を投げ出して両手で抱え込んだのは一束の薪です。その土蔵の廂に高く積み上げてあった薪の束を発見したからのことで、それを発見すると神尾は占めたとばかり、槍を投げ出して、一束ずつ抱え出して、前に積み上げた枯葉や、木の枝の上へ、左右から立てかけたものです。
時分はよしと見た頃合に、主膳は、やはり本性たがわず、投げ出しておいた槍を手さぐりに拾い取って、
「坊主、覚えていろ、今、あくようにしてあけて見せるから後悔するな」