Japanische Klassiker mit Furigana
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だいぼさつとうげ
大菩薩峠6
中里 介山
Lesen Sie 大菩薩峠6 (だいぼさつとうげ) von 中里 介山 (なかざとかいざん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 185.112 Zeichen · 362 Bildschirme
あとでは、やはり腹を抱えて笑ったものがあるけれども、それでも先生の人徳で、誰もその法螺をにくがるものもなく、あえて軽蔑しようとする者もありません。ああ言って眼に見えた法螺を吹いては、しょげ返ってしまうところが先生の身上だ、あれがエライところだと言って、よけいなところへ有難味をつけるものもありました。
ところへ、湯から上って来た人があります。それはさいぜん、朝湯のいの一番に入浴した見慣れない盲目の人でありました。いつのまに上ったか、もう棚の中から着物を取り出して帯を締めて、二階番のところへ行って預けた大小を受取ると、若干の茶代を置いて、煙の如く梯子段を下りて消えてなくなりました。
二階番も最初から怪訝な面であるし、居合わせた定連の者も、呆気にとられてそれを見送って、面を見合わせました。
「盲目だね」
「盲目にしてはおそろしく勘がいい」
「梯子段から上って来て、すーっと消えてしまったところが、眼に残っているような、眼に残っていないような、変な心持だ」
「わたしはまた、ひょっと振返って見た時に、幽霊! と思いましたよ、あの顔色をごらんなさい、まるで生きた人じゃありませんね、この世の人じゃありませんよ」