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Japanische Klassiker mit Furigana

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てんしゅかくのおと

天主閣の音

国枝 史郎

Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はゴロリと寝台へ寝た。

「感心々々そうなくてはならない。勇気のある者は冒険する。一つの冒険は一つの智だ。知って了えば怖くはない。さあ煙管を取るがいい」

香具師は老人から煙管を取った。老人は煙管へ薬を詰めた。それからそいつへ火を付けた。

芳香が部屋へ漲った。

香具師は徐々に煙を喫った。

「厭な気持だ。嘔吐きそうだ」

「ナーニ、すぐに可くなるよ」

「厭な気持だ。変に苦しい」

「そいつあ何うも仕方が無い。その薬の性質だからな。第一多少の辛抱は要るよ。辛抱しないで楽をしよう。こいつあ少し気が可すぎる」

その中だんだん香具師は、深い眠りへ入るようであった。

と、ボタリと煙管を落とした。いよいよ睡眠に這入ったらしい。

じっと老人は見詰めていた。忍び足をして部屋を出た。建物の戸へ錠を下ろした。

それから屋敷を走り出た。

野をドンドン横切った。

香具師の住居の百姓家、その門口まで遣って来た。チラリと四辺を見廻わした。それから裏手へ廻って行った。

裏口の戸も閉じていた。それへ障ろうとはしなかった。彼は足踏をやり出した。地面を足でトントンと踏んだ。そうして音を聞き澄ました。