Japanische Klassiker mit Furigana
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てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme
「あっ」と老人は仰天した。「これは一体何うしたことだ。何、何んだって、お半の方だって? それじゃあ尾張様のご愛妾じゃないか」口の中で呟いた。
追っかけて女の声がした。
「お前さんの苦手のお半の方さ。だがお前という人は、妾に執っても苦手なのさ。だから今夜遣って来たのさ。と、こんな所に口があって、ゴソゴソ床下で音がする。そこで口をふさいだのさ。ホ、ホ、ホ、ホ、可い気味だよ。鼠落しを掛けた奴が、自分でそいつへ落っこったんだからね。ジタバタしたって最う駄目だよ。それとも無理に出るつもりなら、匕首を土手っ腹へお見舞いするよ」
「まあお待ち」と老人は云った。「私はそんな香具師じゃあ無い。人違いだよ人違いだよ」
「馬鹿をお云いな、何を云うんだ。そんな老人の作り声をしてさ。そんな手に乗るものか」
「いや本当だ、そんな者ではない。私は赤の他人なのだ。まあ其処から出しておくれ。出た上でゆっくり相談しよう。旨い話なら乗ってもいい。兎に角外へ出してくれ」
「まあ是で安心したよ」女の声は嬉しそうであった。「実はね、妾は心配だったのさ。大悪党のお前さんの事だ。家にも色々からくりがあろう。