Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
てんしゅかくのおと
天主閣の音
国枝 史郎
Lesen Sie 天主閣の音 (てんしゅかくのおと) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 38.941 Zeichen · 79 Bildschirme
「莫迦を云え」と厭な顔をした。「何んの家来に遠慮するものか」
「ではお礼として香具師殿を、天主閣へお上せなさりませ」
「香具師、お前は何う思うな?」
「これは結構でございますなあ。あの高いお天主へ上り、名古屋の城下を眺めましたら、さぞ可い気持でございましょう」香具師の眼はギロリと光った。
「うん望みなら上らせてやろう。よし家来共が何を云おうと、一睨みしたら形が付く」
「はいはい左様でございますとも」お半の方はニンヤリと笑った。「香具師殿。お礼でございます」
「お半の方様ありがたいことで」
こう香具師は嬉しそうに云ったが、腹の中では不思議であった。
「ははあ余っぽど眠剤が、気に入ったものと思われる。成程なあ、あの老人流石に可い事を教えてくれた。こう覿面にあの薬が、利目があろうとは思わなかった。兎まれ天主閣へ上れるなら、こんな有難え事はねえ。いよいよ大願成就かな」
大須観音境内は、江戸で云えば浅草であった。
その附近に若松屋という、二流所の商人宿があった。
久しい以前から其宿に、江戸の客が二人泊っていた。帳場の主人や番頭は多年の経験から二人の客を、怪しいと睨んでいた。