Japanische Klassiker mit Furigana
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きだんクラブ〔せんごばん〕
奇談クラブ〔戦後版〕
野村 胡堂
Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.161 Zeichen · 26 Bildschirme
「えッ」
「割ったレコードは役に立ちませんから、取捨てようかとは思いましたが、それでは先の夫に済まないと思いまして、何処かに入れてある筈です」
鈴子夫人は、隣の部屋へ行って、暫く捜しておりましたが、やがて例の大型の卓上金庫に入れたまま、割れたレコードを持って来ました。
「これは」
手に取って私も驚きました。レコードは正に、真二つに割れているのです。御存じの通り、世の中には割れても欠けても使用出来るものも少くありませんが、蓄音機のレコードばかりは、一度割れたものは、ハンダ付けも糊づけもきかず、サウンド・ボックスにもピックアップにも掛らず、先ず絶対に使用の方法は無いのです。
「このレコードに、どんな重大な事が吹込んであるかもしれないので、――飛んだことになりました」
私は憮然として、真二つに割れたレコードを継いで見る外はありません。
「あれは何処の言葉でしょう、望月さん」
「それをこれから研究する筈だったのです」
「ではお持ち下さいますように――割れたものは仕様がありませんが」
鈴子夫人は、安からぬ様子です。多分割れたレコードを持って、一刻も早く私に帰って貰い度かったのでしょう。