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Japanische Klassiker mit Furigana

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きだんクラブ〔せんごばん〕

奇談クラブ〔戦後版〕

野村 胡堂

Lesen Sie 奇談クラブ〔戦後版〕 (きだんクラブ〔せんごばん〕) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 13.161 Zeichen · 26 Bildschirme

Aozora Bunko

これは実に由々しき大事で、鈴子夫人を崇拝し尊敬している我々詩人仲間は、何んとかしてあの牢獄から、稀代の麗人を救い出そうとして、中世紀のナイトのように慷慨悲憤しました。併し残念乍ら我々の仲間は、骨の髄から青白きインテリで、一代に一千万円の巨富を築き上げた国府金弥老人と対抗するほどの、金も智慧も持っている筈はありません。それに国府老人は若い時分は相当に優れた科学者だったそうで、その夥しい発明と特許権が後の富を作る原因にもなり、年こそ取っておりますが、並々ならぬ良い頭脳の所有者でもあったのです。

ところで我々の仲間でも一番鈴子夫人に同情していたのは国府老人の遠縁に当る少壮実業家で、詩も作り金も作るといわれた才人、森川森之助という男でした。これは鈴子夫人とは幼な友達で、少くも本人だけは許婚位の心持でいたのでしょうが、鈴子夫人が女子大を卒業して、女流詩人として名を成し始めた頃、不意に横合から飛出した国府老人が、金にモノをいわせて、美しい温め鳥のように、鈴子夫人をさらって行ってしまったのです。

――少くとも森川森之助はこういっておりました。にも拘らず、国府金弥老人は、太々しい寛大さで、森川森之助を家庭に近づけ、相変らず自分の秘書のように使っておりました。